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相続人は誰か 完全ガイド
法定相続人の範囲・順位・相続分をケース別に判定

公開: 2026-07-05 | 監修: 柏原昌之 (司法書士/花の丘相続遺言サポート 代表)

結論: 誰が相続人になるかは 民法で決まっています配偶者は常に相続人、それに加えて血族が 第 1〜3 順位 の順で相続人になります。

ポイントは「配偶者は順位に関係なく常に相続人」「血族は上の順位がいれば下の順位は相続人にならない」の 2 つ。まずは下の早見表で全体像をつかんでください。

📋 相続順位の超要約

立場 相続人になる?
配偶者 (夫・妻) 常に相続人 (順位に関係なし)
第 1 順位: 子 (孫) いれば相続人。第 2・3 順位は対象外に
第 2 順位: 父母 (祖父母) 子・孫がいない場合に相続人
第 3 順位: 兄弟姉妹 (甥姪) 子・孫も父母もいない場合に相続人

1. 相続人の基本ルール

誰が相続人になるかは、亡くなった方 (被相続人) の気持ちや同居の有無ではなく、民法のルールで機械的に決まります。押さえるべき基本ルールは次の 2 つだけです。

ルール① 配偶者は「常に」相続人になる

被相続人に 法律上の配偶者 (婚姻届のある夫・妻) がいれば、順位に関係なく必ず相続人になります。ただし、次の人は「配偶者」に含まれません。

  • 内縁 (事実婚) の配偶者 — どれだけ長く連れ添っても、婚姻届がなければ相続人になりません
  • 離婚した元配偶者 — 亡くなった時点で離婚が成立していれば相続人になりません

ルール② 血族は 3 つの順位で、上の順位がいれば下は相続人にならない

配偶者以外の血のつながった親族 (血族相続人) は、次の順位で相続人になります。上の順位に 1 人でも相続人がいれば、下の順位の人は相続人になりません。

  • 第 1 順位子 (亡くなっていれば孫・ひ孫へ)
  • 第 2 順位直系尊属 (父母、いなければ祖父母)
  • 第 3 順位兄弟姉妹 (亡くなっていれば甥・姪へ)

たとえば「配偶者と子」がいれば相続人は 配偶者と子 で、被相続人の父母や兄弟姉妹は — たとえ健在でも — 相続人になりません。子がいなければ第 2 順位の父母へ、父母もいなければ第 3 順位の兄弟姉妹へと、順番に下りていきます。

💡 「常に相続人」と「順位」の関係

配偶者は順位の枠の外にいて、必ず相続人になります。実際の相続人は、「配偶者」+「第 1〜3 順位のうち一番上の順位にいる血族」の組み合わせで決まる、とイメージすると分かりやすいです。

2. 順位別の相続人

第 1 順位 子 (直系卑属)

被相続人の が第 1 順位です。次の子はすべて 同じ第 1 順位・同じ相続分 として扱われます。

  • 実子 (現在の家庭の子)
  • 前の配偶者との間の子 — 離婚していても親子関係は続くため相続人
  • 認知した子 (非嫡出子) — 父が認知していれば相続人 (相続分も実子と同じ)
  • 養子 (縁組が有効なもの) — 実子と同じ扱い

一方、再婚相手の連れ子 は、被相続人と 養子縁組をしていなければ相続人になりません。血のつながりがないためです。

代襲相続 — 子が先に亡くなっていたら?

子が被相続人より先に亡くなっている場合、その子 (=被相続人の) が代わりに相続します。これを代襲相続といいます。孫も先に亡くなっていれば ひ孫へと、直系卑属の代襲は 下へ制限なく続きます

第 2 順位 直系尊属 (父母・祖父母)

被相続人に 子も孫もいない場合 に、父母が相続人になります。父母が二人とも亡くなっていて 祖父母が健在なら、祖父母が相続人 です (より被相続人に近い世代が優先)。

養子縁組をした 養親 も直系尊属に含まれます。なお、直系尊属には「代襲」という考え方はなく、単純に近い世代から順にたどります。

第 3 順位 兄弟姉妹 (甥・姪)

被相続人に 子・孫も、父母・祖父母もいない場合 に、兄弟姉妹が相続人になります。兄弟姉妹が先に亡くなっている場合は、その子 (=甥・姪) が代襲します。

⚠️ 兄弟姉妹の代襲は「甥・姪の 1 代限り」

第 1 順位 (子) の代襲が孫・ひ孫へと下へ続くのに対し、兄弟姉妹の代襲は甥・姪までの 1 代で打ち止めです。甥・姪も亡くなっていても、その子には相続権は移りません。ここは間違えやすいので要注意です。

また、父母の一方だけが同じ 半血の兄弟姉妹 (異母きょうだい・異父きょうだい) も相続人になりますが、相続分は全血の兄弟姉妹の 2 分の 1 になります (§ 4 参照)。

📌 代襲の「非対称」を 1 行で

子の代襲は 孫 → ひ孫 → … と下へ無制限。兄弟姉妹の代襲は 甥・姪の 1 代だけ。 この違いが判定のキモです。

3. ケース別・相続人早見表

「うちの場合は誰が相続人?」を、代表的な家族構成別に一覧にしました。上のルールに当てはめると、次のようになります。

家族構成 (被相続人から見て) 相続人になる人
配偶者 + 子がいる 配偶者子 (全員)
配偶者あり/子なし・父母が健在 配偶者父母 (直系尊属)
配偶者あり/子・父母なし・兄弟姉妹あり 配偶者兄弟姉妹
配偶者あり/子・父母・兄弟姉妹すべてなし 配偶者のみ
配偶者なし/子がいる 子のみ (全員)
独身・子なし/父母が健在 父母 (直系尊属) のみ
独身・子なし/父母なし・兄弟姉妹あり 兄弟姉妹のみ
子が先に死亡・その子 (孫) がいる 配偶者 (いれば) と 孫 (代襲相続)

※ 「兄弟姉妹あり」のケースで兄弟姉妹が既に亡くなっている場合は、その子である甥・姪が代襲します (1 代限り)。上の表はあくまで代表的なパターンで、実際は戸籍で相続人を確定する必要があります。相続人の範囲によって集める戸籍の量も変わります (詳しくは 相続の戸籍の集め方ガイド)。

4. 法定相続分 (取り分の割合)

相続人が決まったら、次は「それぞれの取り分 (法定相続分)」です。誰と誰が相続人になるかの 組み合わせ によって、配偶者の割合が変わります。

前提: 現行民法 (1981〈昭和 56〉年 1 月 1 日以降に開始した相続)

下の割合は現在のルールです。1980 (昭和 55) 年以前に亡くなった方の相続では割合が異なる場合があるため、古い相続を扱うときは専門家にご確認ください。

相続人の組み合わせ 配偶者の取り分 血族相続人の取り分
配偶者 と 子 1/2 1/2 (子の人数で等分)
配偶者 と 直系尊属 (父母等) 2/3 1/3 (人数で等分)
配偶者 と 兄弟姉妹 3/4 1/4 (等分・半血は全血の 1/2)
配偶者のみ (血族相続人なし) 全部
子のみ (配偶者なし) 全部 (子の人数で等分)
直系尊属のみ (配偶者なし) 全部 (人数で等分)
兄弟姉妹のみ (配偶者なし) 全部 (等分・半血は全血の 1/2)

⚠️ 法定相続分は「必ずこう分ける」ルールではありません

法定相続分は、話し合いがまとまらないときの 基準 です。有効な遺言があればその内容が優先され、遺言がなくても 相続人全員の遺産分割協議で合意すれば、自由な割合で分けられます (例: 配偶者が自宅を全部相続する等)。上の割合は「目安」として押さえてください。

💡 具体例: 配偶者 と 子 2 人

配偶者が 1/2、子 2 人で残り 1/2 を等分するので、子はそれぞれ 1/4 ずつになります (配偶者 1/2・長子 1/4・次子 1/4)。代襲相続で孫が相続する場合は、その親 (亡くなった子) の取り分を孫たちで分け合います。

5. 判定でつまずくポイント集 (司法書士監修)

① 相続放棄すると「はじめからいなかった」扱いになる

相続放棄をした人は、はじめから相続人でなかったものとみなされます。同順位に他の相続人がいればその人たちで分け直し、同順位の全員が放棄すると 相続権は次の順位へ移ります (例: 子が全員放棄 → 直系尊属 → 兄弟姉妹)。重要なのは、相続放棄では代襲相続が起きないこと。放棄した子の子 (孫) が代わりに相続することはありません。放棄の手続き・期限(3 か月)・費用は 相続放棄とは 完全ガイド、放棄者がいる相続で残った相続人・図・登記をどう扱うかは 相続放棄した人がいる場合の取扱いガイド で解説しています。

② 「代襲相続」と「数次相続」は別物

代襲相続は、被相続人より 先に 相続人 (子・兄弟姉妹) が亡くなっていて、その子が代わりに相続するケース。数次相続は、被相続人が亡くなった 後に 相続人が亡くなり、その相続人の相続がさらに発生するケースです。誰が最終的に取得するかも、必要な戸籍も変わるため、時系列 (どちらが先に亡くなったか) を必ず確認します。

③ 養子・連れ子・前婚の子の扱い

養子 (縁組が有効なもの) と 認知された子・前婚の子 は、実子と同じ第 1 順位で相続分も同じです。一方、再婚相手の連れ子は、養子縁組をしていなければ相続人になりません。「一緒に暮らしていたか」ではなく「法律上の親子関係があるか」で決まります。

④ 半血の兄弟姉妹は全血の 1/2

兄弟姉妹が相続人になるケースで、父母の 一方だけ が同じ半血のきょうだい (異母・異父きょうだい) の相続分は、父母の 双方 が同じ全血のきょうだいの 2 分の 1 です。この 2 分の 1 ルールは 第 3 順位 (兄弟姉妹) だけの取り扱いで、子どうしにはありません。

⑤ 内縁の配偶者・元配偶者は相続人ではない

婚姻届のない 内縁 (事実婚) の配偶者 と、離婚が成立した 元配偶者 は相続人になりません。内縁の方に財産を残したい場合は遺言書での遺贈を検討します。なお、元配偶者との間の は、離婚後も相続人であり続ける点に注意してください。

⑥ 胎児は「すでに生まれたもの」とみなす

被相続人が亡くなった時点でまだ生まれていない胎児も、相続については すでに生まれたものとみなされ、相続人になります (無事に生まれた場合)。妊娠中に父が亡くなったようなケースでは、生まれてくる子を相続人に含めて考えます。

⑦ 相続欠格・廃除で相続人でなくなることがある (概要)

被相続人を死亡させた・遺言を偽造したなど一定の重大な事由があると、法律上当然に相続権を失う 相続欠格や、被相続人が家庭裁判所に申し立てて相続権を奪う 廃除という制度があります。いずれも その人は相続人になりませんが、その子への代襲相続は発生します (放棄との違い)。該当が疑われるケースは専門家にご相談ください。

⑧ 「特別受益」「寄与分」は取り分を調整する要素 (別途)

生前に多額の援助を受けた人がいる 特別受益、被相続人の財産維持に特別に貢献した人がいる 寄与分がある場合、法定相続分を修正して公平を図る仕組みがあります。これらは「誰が相続人か」の判定とは別の、取り分を調整する論点です (本記事では概要のみ)。

相続人が確定したら、図にして整理する

誰が相続人かの見当がついたら、次は 戸籍で確認して確定 し、相続関係を図にまとめる と手続きがスムーズです。目的別に次の記事へ進んでください。

※ 「みんなの相関図」は、入力した家族を相続関係説明図・法定相続情報一覧図として 図にできるツールです。参考として相続順位・相続分の目安も表示しますが、最終的な相続人の判定はご利用者様の責任で行っていただくものです。複雑なケースは専門家にご相談ください。

相続人は誰か — よくあるご質問

Q.子がいない夫婦は、どちらの親が相続人になる? +

子がいない場合、配偶者と一緒に被相続人 (亡くなった方) の父母が相続人になります。夫の相続なら夫側の父母、妻の相続なら妻側の父母です。配偶者の親 (義理の親) は相続人になりません。父母が二人とも亡くなっていて祖父母が健在なら祖父母が相続人になり、直系尊属も誰もいなければ被相続人の兄弟姉妹に移ります。

Q.離婚した元配偶者や、連れ子は相続人になる? +

離婚した元配偶者は相続人になりません。相続人になる配偶者は、被相続人が亡くなった時点で婚姻関係にある夫・妻に限られます。連れ子 (再婚相手の子) は、被相続人と養子縁組をしていれば実子と同じ第 1 順位の相続人ですが、養子縁組をしていなければ相続人になりません。なお、元配偶者との間の子は、離婚しても親子であることに変わりはないため相続人になります。

Q.相続放棄したら、その人の相続分は誰に移る? +

相続放棄をした人は、はじめから相続人でなかったものとして扱われます。同じ順位に他の相続人がいれば、その人たちで分け直します (例: 子 3 人のうち 1 人が放棄すれば、残り 2 人が均等に相続)。同順位の全員が放棄すると、相続権は次の順位へ移ります (例: 子が全員放棄 → 直系尊属 → 兄弟姉妹)。相続放棄では代襲相続は起きないため、放棄した人の子が代わりに相続することはありません。

Q.内縁の妻・夫でも相続できる? +

婚姻届を出していない内縁 (事実婚) の配偶者は、どれだけ長く連れ添っていても法定相続人にはなりません。財産を渡したい場合は、遺言書で遺贈する方法があります。また、他に相続人が誰もいない場合には「特別縁故者」として家庭裁判所に申立てをして財産の分与を受けられることがありますが、当然に相続できるわけではありません。

Q.甥・姪はどこまで相続人になる? +

兄弟姉妹が相続人になるケースで、その兄弟姉妹が被相続人より先に亡くなっている場合、その子である甥・姪が代襲して相続人になります。ただし兄弟姉妹の代襲は甥・姪の 1 代限りです。甥・姪も先に亡くなっている場合、その子 (甥姪の子) へはそれ以上引き継がれません。この点は、孫・ひ孫へと下へ続く子 (直系卑属) の代襲とは異なります。

Q.相続分は必ずこの割合で分けないといけない? +

いいえ。民法の法定相続分は、話し合いがまとまらないときの基準です。有効な遺言書があればその内容が優先され、遺言がなくても相続人全員で遺産分割協議をして合意すれば、法定相続分と異なる割合で自由に分けられます (例: 配偶者が自宅を全部相続する等)。法定相続分は「必ずこう分ける」というルールではありません。

Q.養子や、認知された子の相続分は実子と違う? +

同じです。養子 (縁組が有効なもの) は実子と同じ第 1 順位で、相続分も実子と変わりません。婚姻関係にない男女の間に生まれ、父に認知された子 (非嫡出子) も、現在は嫡出子と相続分が同じです (2013 年 9 月 5 日以降に開始した相続について平等)。前の配偶者との間の子も、現在の家庭の子と同じ相続分になります。

Q.異母きょうだい・異父きょうだい (半血) の相続分は? +

兄弟姉妹が相続人になるケースで、父母の一方だけが同じ半血の兄弟姉妹 (異母きょうだい・異父きょうだい) の相続分は、父母の双方が同じ全血の兄弟姉妹の 2 分の 1 になります。たとえば全血のきょうだいと半血のきょうだいが 1 人ずついる場合、取り分は 2 対 1 です。なお、この 2 分の 1 ルールは第 3 順位 (兄弟姉妹) だけの取り扱いで、子どうしにはありません。

Q.相続人が誰もいない場合はどうなる? +

配偶者も、子・直系尊属・兄弟姉妹 (甥姪) もいない場合、相続人不存在となります。この場合は家庭裁判所が選任した相続財産清算人が手続きを行い、内縁の配偶者や被相続人の療養看護に努めた人などが「特別縁故者」として財産分与を受けられることがあります。最終的に残った財産は国庫に帰属します。遺言書があれば、相続人がいなくても遺贈で財産を渡せます。

Q.「みんなの相関図」で相続人を判定できる? +

「みんなの相関図」は、入力された家族関係をもとに相続関係説明図・法定相続情報一覧図を描画するツールで、参考として相続順位や法定相続分の目安も表示します。ただし、実際の相続人が誰かの最終判断は、戸籍の内容や個別事情によって変わるため、必ずご利用者様の責任でご確認ください。判断に迷うケースは、司法書士等の専門家にご相談ください。

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この記事の監修者

柏原 昌之 (かしはら まさゆき)

司法書士。司法書士法人かしのき事務所 代表・花の丘相続遺言サポート 代表 (埼玉県さいたま市)。相続登記・法定相続情報一覧図・遺言をはじめとする相続手続きを多数取り扱う。「専門家に頼む前に、自分でできるところまでやってみたい」という方を応援するため、「みんなの相関図」(運営: かしのき研究所) の監修を務める。

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免責事項

本記事は 2026 年 7 月時点の民法・制度に基づく一般的な情報提供であり、個別の事案に対する法的アドバイスではありません。相続人の範囲・順位・相続分は、戸籍の内容や個別の事情によって結論が変わることがあります。実際の判定にあたっては、戸籍で確認のうえ、必要に応じて司法書士等の専門家にご相談ください。「みんなの相関図」は入力されたデータに基づいて機械的に図を描画し、参考情報を表示するツールであり、相続人の最終的な判定は必ずご利用者様の責任においてご確認ください。