🏠 みんなの相関図 (一般の方向け) 数次相続とは

📄 相続手続きガイド

数次相続とは
相続の手続き中に、次の相続が重なった状態

公開: 2026-07-11 | 監修: 柏原昌之 (司法書士/花の丘相続遺言サポート 代表)

結論: 数次相続とは、ある人の相続手続き (遺産分割など) が 終わらないうちに、その相続人が亡くなって次の相続が重なった 状態です。亡くなった相続人の 地位はその相続人 (子など) へ引き継がれる ため、後の相続人も最初の相続の 遺産分割協議に参加 することになります。関係者とハンコが増え、手続きは複雑になりがちです。

「父の相続手続きの途中で母も亡くなった。どう進めれば?」「代襲相続と何が違うの?」「相続登記は 2 回しないといけない?」——この記事では、混同されやすい 相続人の範囲 や代襲相続との違いを軸に、数次相続の進め方を、司法書士の監修のもとで解説します。

1. 数次相続とは (相続が数珠つなぎになる)

数次相続は、ひとつの相続の手続きが終わらないうちに 次の相続が重なってしまう ことをいいます。たとえば、次のようなケースです。

祖父 A が亡くなり、その相続 (遺産分割) がまだ済んでいないうちに、相続人だった父 B も亡くなった。

すると、B の相続人 (子 C や母など) が、A の相続と B の相続の両方 に関わることになります。相続が 2 つ重なる——これが数次相続です。

ポイントは 亡くなった順番と時点 です。B は「A より後に」亡くなっているため、いったん A の相続人になっており、その B の権利・義務が、B の相続人へ引き継がれます

⚠️ 放置するほど、関係者は増える

手続きをしないまま時間が経つと、さらに次の相続が重なって相続人が増え、収拾がつかなくなりがちです。相続登記の義務化 (2024 年〜) もあり、心当たりがあれば早めの対応が安全です。

2. 代襲相続との違い (早見表)

数次相続とよく混同されるのが 代襲相続 です。違いは 亡くなった「順番」 にあります。

数次相続 代襲相続
相続人が亡くなった時点 被相続人より「後」 被相続人より「先」 (同時を含む)
何が起きる 亡くなった相続人の地位を、その相続人が承継 先に亡くなった人の子が代わって相続
誰が受け継ぐ 亡くなった相続人の 相続人全員 (配偶者を含む) 先に亡くなった人の 子 (直系卑属)

⚠️ 「先か後か」で入れ替わる

相続人が被相続人より 後に 亡くなれば数次相続、先に 亡くなっていれば代襲相続です。受け継ぐ人の範囲も、数次相続は配偶者を含む相続人全員、代襲相続は子 (直系卑属) と、変わってきます。まずは 亡くなった順番を戸籍で確認する ことが出発点です。

3. 誰が遺産分割協議に参加するのか

数次相続では、最初の相続 (A の相続) の遺産分割に、亡くなった相続人 B の相続人全員 が、B の立場を引き継いで参加します。

全員がそろわないと成立しない

A の他の相続人に加え、B の相続人 (C や母など) 全員のハンコが必要です。一人でも欠けると遺産分割協議は成立しません。関係者が増えるほど、連絡や調整の手間も大きくなります。

関係が複雑になりやすいので、相続関係説明図 で「誰が誰の相続人か」を図にして整理すると、参加者の漏れを防ぎやすくなります。

4. 遺産分割協議書の書き方 (数次相続の場合)

数次相続では、協議書の書き方にもひと工夫が要ります。

① 2 つの相続を段階的に書く

1 通の協議書に 「A の相続」と「B の相続」を段階的に書く 方法や、相続ごとに分けて作る方法があります。書き方は事案と提出先 (法務局) で異なるため、専門家に確認するのが安全です。

② 亡くなった人の「肩書き」に決まりがある

亡くなった B については「被相続人 B」として、その相続人が署名・押印します。肩書きの書き方には決まりがあるため、記載方法は提出先や司法書士に確認しておくと安心です。

③ 戸籍・印鑑証明が増える

相続人全員の印鑑証明書・戸籍が必要です。数次相続は 戸籍の通数が増える ので、早めに集め始めましょう (→ 戸籍の集め方)。

5. 相続登記は何件必要か

数次相続では、相続が重なった分だけ登記も 複数件 になるのが原則です。

まとめられる場合もある (中間省略登記)

ただし条件によっては、中間の登記を省いて一度にまとめられる場合 (中間省略登記) もあります。可否の判断は細かいルールによるため、詳しくは法務局や司法書士にご確認ください。

※ 件数によって登録免許税や必要書類も変わります。金額は事案により異なるため、登記の前に専門家へ相談すると安心です。

6. 数次相続と相続放棄の順番

借金が心配なときは、相続放棄も選択肢になります。ただし数次相続では 放棄の順番 に注意が必要です。

後の相続を放棄すると、前の相続の地位も引き継がない

たとえば C が「B の相続」を放棄すると、B が持っていた A の相続に関する地位も引き継がない ことになります。どの相続を、どの順番で放棄するかで結論が変わるため、放棄を考えるなら早めに専門家へ相談してください。

借金が絡むときは 相続放棄限定承認 もあわせて検討します。いずれも 原則 3 か月 の期限があるため、早めの判断が大切です。

7. つまずき・注意点

① 放置で雪だるま式に増える

次の相続が重なるほど関係者が増え、全員のハンコを集めるのが難しく なります。気づいたら早めに着手するのが安全です。

② 亡くなった順番の思い込み

「先か後か」で数次相続と代襲相続が入れ替わります。記憶に頼らず、必ず戸籍で確認 しましょう。

③ 相続登記の義務化にも注意

相続登記は 2024 年から義務化されており、放置には過料の定めがあるとされています。数次相続で権利者が増える前に、早めの手続きが安全です。

🌿 複雑な相続人を、図で整理

「誰が誰の相続人か」を、その場で図にしてみる

数次相続は関係がこんがらがりやすいのが難点です。まず 相続関係説明図 で全体を見える化すると、協議や登記の準備がぐっとスムーズになります。「みんなの相関図」なら、名前 / 生年月日 / 続柄を入れていくだけで自動で図を描けます。登録不要の体験デモで、まず試せます。

※ 登録時のカード入力なし。ツールはあくまで家族関係の図の作成にお使いいただけます。相続登記や遺産分割協議そのものを行うものではありません。

8. 数次相続を進める 4 ステップ

数次相続を進めるときの、大まかな流れです。

1 亡くなった人と順番を整理する

誰が誰より先に、または後に亡くなったのかを 戸籍で確認 します。相続人が被相続人より後に亡くなっていれば数次相続、先なら代襲相続と、扱いを見分けます。

2 相続人を全員洗い出す

亡くなった相続人の立場を引き継ぐ人 (配偶者・子など) も含めて、全員 を特定します。相続関係説明図 にすると漏れにくくなります。

3 遺産分割協議をまとめる

全員で協議し、数次相続に対応した遺産分割協議書を作成します。肩書きの書き方は要確認。印鑑証明書・戸籍も準備します。

4 相続登記を申請する

件数 (中間省略の可否) を法務局・司法書士に確認して申請します。相続登記は義務化されているため、早めの手続き が安全です。

あわせて読みたい

数次相続とセットで理解しておきたいテーマを、次の記事で解説しています。

数次相続 — よくあるご質問

Q.数次相続とは何ですか? +

ある人の相続手続きが終わらないうちに、その相続人が亡くなって次の相続が重なった状態です。亡くなった相続人の地位はその相続人へ引き継がれ、最初の相続の遺産分割にも関わることになります。

Q.代襲相続と何が違いますか? +

亡くなった順番が違います。相続人が被相続人より「後」に亡くなるのが数次相続、「先」に亡くなる (同時を含む) のが代襲相続です。承継する人の範囲も異なります。

Q.誰が遺産分割協議に参加しますか? +

最初の相続の相続人に加え、亡くなった相続人の立場を引き継ぐ人 (その配偶者や子など) 全員が参加します。一人でも欠けると協議は成立しません。

Q.遺産分割協議書はどう書きますか? +

「最初の相続」と「後の相続」を段階的に書く方法などがあり、亡くなった相続人は「被相続人」として肩書きを付けて記載します。書き方は提出先の法務局で扱いが異なるため、司法書士に確認するのが安全です。

Q.相続登記は何回必要ですか? +

相続が重なった分、登記も複数回になるのが原則です。ただし条件によっては中間を省いてまとめられる場合 (中間省略登記) もあります。可否の判断は細かいため、詳しくは法務局や司法書士にご確認ください。

Q.戸籍はたくさん必要ですか? +

相続が重なる分、亡くなった方それぞれの出生から死亡までの戸籍が必要になり、通数が増える傾向があります。早めに集め始めるのが安全です。

Q.相続放棄はどの順番で考えますか? +

後の相続を放棄すると、その人が引き継ぐはずだった前の相続に関する地位も引き継がないことになります。順番で結論が変わるため、放棄を考えるなら早めに専門家へご相談ください。

Q.放置するとどうなりますか? +

次の相続が重なって関係者が増え、全員の合意を得るのが難しくなります。相続登記の義務化もあり、早めの手続きが安全です。

Q.相続関係説明図は作った方がいいですか? +

数次相続は関係が複雑になりやすいため、誰が誰の相続人かを図にすると整理しやすく、協議や登記の準備がスムーズになります。無料・登録不要で作れるツールもあります。

Q.自分で手続きできますか? +

制度上は可能ですが、協議書の書き方や登記の件数など判断が難しい点が多いため、司法書士など専門家に相談・依頼するのが一般的です。個別の判断は専門家にご相談ください。

✨ 数珠つなぎの相続人を、図で整理

誰が相続人かを、その場で図にしてみる

数次相続は「相続人全員で」が基本。まず誰が相続人かを整理すると、話し合いがスムーズです。「みんなの相関図」なら、名前 / 生年月日 / 続柄を入れていくだけで自動描画。
登録不要の体験デモで、まず試せます。

※ 登録時のカード入力なし。14 日経過後、何もしなければ 自動でサービス停止 (= 0 円のまま)
数次相続の遺産分割・登記そのものの手続きは各窓口で行うもので、ツールはあくまで家族関係の図の作成にお使いいただけます。

この記事の監修者

柏原 昌之 (かしはら まさゆき)

司法書士。司法書士法人かしのき事務所 代表・花の丘相続遺言サポート 代表 (埼玉県さいたま市)。相続放棄・相続登記・遺言をはじめとする相続手続きを多数取り扱う。「専門家に頼む前に、自分でできるところまでやってみたい」という方を応援するため、「みんなの相関図」(運営: かしのき研究所) の監修を務める。

数次相続は、誰が協議に参加するか・書き方・登記の件数・放棄の順番 で迷いやすい手続きです。関係が複雑で判断に困るときは — 無料 Zoom 相続相談 (初回 90 分) で、早めにご相談ください。

免責事項

本記事は 2026 年 7 月時点の民法・制度に基づく一般的な情報提供であり、個別の事案に対する法的アドバイスではありません。数次相続における協議の参加者・遺産分割協議書の書き方・相続登記の件数や中間省略の可否・相続放棄の順番などは、個別の事情や提出先 (法務局・家庭裁判所) によって異なります。登録免許税など税金の取扱いは司法書士の専門外のため、要否・税額は税理士にご確認ください。実際の手続きにあたっては、各窓口の案内をご確認のうえ、必要に応じて司法書士・税理士等の専門家にご相談ください。「みんなの相関図」は家族関係の図を作成するツールであり、遺産分割協議や相続登記、相続人の確定を行うものではありません。