🏠 みんなの相関図 (一般の方向け) 遺産分割協議書の書き方

📄 相続手続きガイド

遺産分割協議書の書き方
相続人全員で合意した「分け方」を書面にする

公開: 2026-07-26 | 監修: 柏原昌之 (司法書士/花の丘相続遺言サポート 代表)

結論: 遺産分割協議書とは、相続人 全員 で遺産の分け方を話し合って合意した内容を、書面にしたものです。つくるときは 相続人全員の実印と印鑑証明書が必要 です。一方で、その手続きに協議書が要るかどうかは、手続きをする機関によって変わります

「遺産分割協議書って自分で作れる?」「不動産はどう書けばいい?」「認印じゃダメ?」——この記事では、必須項目とつまずきやすい点を、相続関係説明図 で相続人を確定する流れとあわせて、司法書士の監修のもとで解説します。

1. 遺産分割協議書とは

遺言がない場合などに、相続人全員で「誰が何を相続するか」を話し合うことを 遺産分割協議 といいます。その合意内容をまとめた書面が 遺産分割協議書 です。

① 決まったことを、後日のために残す

口約束だけでは、後になって「言った・言わない」になりがちです。合意した内容を書面にして全員が押印する ことで、決まったことをはっきり残せます。

② 手続きの窓口に提出する

相続登記・預貯金の解約・相続税の申告 などの場面で、提出を求められることがあります。どの手続きで必要になるかは次の章でまとめます。

なお、遺言があってそのとおりに分けるのであれば、原則としてこの協議書は不要です。

2. いつ必要か (要否は機関によって変わる)

まず押さえたい「2 つの要否」

混同しやすいのですが、要否には 2 種類あります。
遺産分割協議書そのものが要るか手続きをする機関によって変わります
実印と印鑑証明書が要るか協議書をつくるなら必須です

手続きごとの、おおまかな目安です。最終的な要否は 提出先の窓口にご確認ください

場面 協議書の要否 補足
不動産の相続登記 必要になることが多い 法定相続分どおりに登記する場合など、例外もあります
預貯金の解約・名義変更 金融機関によります その金融機関の所定用紙を求められることもあります
相続税の申告 必要になることが多い 税務は税理士へ
相続人が 1 人だけ 原則 不要 分ける相手がいないため
遺言のとおりに分ける 原則 不要 遺言の内容にそって手続きします

⚠️ 相続税のことは税理士へ

相続税が関わる場合、税額や申告の要否の判断は司法書士の専門外です。必ず税理士にご確認ください。

3. 誰が作る・誰の押印がいるか (実印は必須)

作成するのに決まった資格はなく、相続人が自分たちで作ることもできます。ただし記載の正確さが求められるため、専門家に依頼する方も多くいます。

実印と印鑑証明書は必須です

遺産分割協議書をつくるなら、相続人全員の実印と印鑑証明書が必要 です。認印では手続きに使えません。実印を押すには、お住まいの市区町村で 印鑑登録 をしておく必要があります。まだ登録していない相続人がいる場合は、早めに手続きしておくと安心です。

「全員」でないと成立しません

一人でも欠けたり、後から相続人が判明したりすると、協議はやり直しになることがあります。だからこそ 先に相続人を全員確定する ことが大切です。→ 相続人は誰か戸籍の集め方

4. 書き方 — 入れるべき 6 項目

決まった様式はありませんが、次の項目を入れるのが一般的です。

① 被相続人の表示

氏名・死亡日・最後の本籍・最後の住所を、戸籍等のとおり正確に 書きます。誰の相続についての協議かを特定するためです。

② 相続人全員が合意した旨

「下記のとおり遺産分割協議が成立した」といった一文を入れます。

③ 財産の特定

不動産は登記事項証明書のとおり (所在・地番・家屋番号・地積など)、預貯金は金融機関名・支店名・口座番号まで書きます。あいまいだと手続きで使えないことがあります。

④ 誰が何を取得するか

相続人ごとに、取得する財産をはっきり書き分けます。

⑤ 後日判明した財産の取り扱い

「この協議書に記載のない財産が判明した場合の取り扱い」を定めておくと、後からの再協議の手間を減らせます

⑥ 作成日と、相続人全員の署名・押印

作成日、相続人全員の住所・氏名を書き、全員が実印を押します。あわせて全員の印鑑証明書を添えます。

5. 実務でつまずきやすい点 (不動産・契印・通数)

不動産は「登記簿どおり」に書く

ふだん使う住所 (住居表示) ではなく、地番・家屋番号 で書きます。登記事項証明書を取り寄せ、それを見ながら書き写すのが確実です。記載にミスがあれば、提出先から補正を求められます

代償分割・換価分割は、その旨を書く

一人が不動産を取得して他の相続人にお金を渡す (代償分割)、売却して代金を分ける (換価分割) といった分け方をするときは、その旨を書きます。例:「A が不動産を取得し、その代償として B に 金 500 万円 を支払う」。

複数枚になるときは契印 (割印) が必要

用紙が 2 枚以上になるときは、ページのつながりを示す 契印 が必要です。契印にも、署名押印に使ったのと同じ実印を使います

通数 — 全員が原本を持たなくてもよい

相続人の人数分を作って各自が原本を持つ方法のほか、原本を 1 通だけ作り、ほかの相続人はコピーを持つ 形でも構いません。必ず全員が原本を持ち合う必要はありません。提出先ごとに必要な通数は確認しておくと安心です。

添付書類の手数料の目安 (さいたま市の例)

書類 手数料 (1 通)
印鑑登録証明書 (さいたま市・窓口) 300 円
戸籍謄本 (全部事項証明・さいたま市) 450 円
除籍謄本・改製原戸籍謄本 (さいたま市) 750 円
不動産の登記事項証明書 (法務局・書面請求) 600 円

※ 2026 年 7 月現在。登記事項証明書は令和 7 年 4 月 1 日現在の額です。手数料は自治体・時期により異なります。請求先の市区町村・法務局でご確認ください。相続人が多いほど印鑑証明書の通数が増え、その分が積み上がります。

6. つまずき・注意点

① 相続人の確定漏れ

後から相続人が出てくると、協議はやり直し になることがあります。先に戸籍で全員を確定してください。とくに 代襲相続数次相続 が絡むと相続人が増えやすく、関係も複雑になります。判断に迷うときは司法書士にご相談ください。

② 財産の書き方があいまい

とくに不動産は、登記事項証明書を見ながら正確に書きます。ミスがあれば補正を求められ、手続きが止まってしまいます。

③ 税金の判断を自己流でしない

相続税の要否・計算は税理士へ。司法書士の専門外です。分け方によって税務上の扱いが変わることもあるため、迷ったら早めにご相談ください。

🌿 協議の前に、まず「全員」を見える化

誰が相続人かを、その場で図にしてみる

遺産分割協議書でいちばん多いつまずきは、相続人の確定漏れ です。まず 相続関係説明図 で全体を見える化すると、「全員そろっているか」を確かめやすくなります。「みんなの相関図」なら、名前 / 生年月日 / 続柄を入れていくだけで自動で図を描けます。登録不要の体験デモで、まず試せます。

※ 登録時のカード入力なし。ツールはあくまで家族関係の図の作成にお使いいただけます。相続人の確定や法的な判断、遺産分割協議書の作成を行うものではありません。

7. 遺産分割協議書をつくる 4 ステップ

はじめから終わりまでの、大まかな流れです。

1 相続人を全員確定する

戸籍を集めて相続人を全員確定します。一人でも欠けると協議は成立しません。記憶ではなく戸籍で確認し、相続関係説明図 にすると漏れにくくなります。

2 遺産を洗い出す

不動産・預貯金・その他をリスト化します。不動産は 登記事項証明書 を取り寄せ、所在・地番・家屋番号を正確に控えます。

3 全員で分け方を協議し、書面にする

§4 の 6 項目を入れて作成します。用紙が複数枚になるときは 契印 をします。

4 全員が実印を押し、印鑑証明書を添える

相続人全員の実印と印鑑証明書が必要 です。契印にも実印を使います。提出先 (法務局・金融機関など) ごとに必要な通数を確認しておくと安心です。

あわせて読みたい

遺産分割協議書の前工程 —「相続人を全員そろえる」ための記事です。

遺産分割協議書 — よくあるご質問

Q.遺産分割協議書とは何ですか? +

相続人全員で遺産の分け方を話し合い、合意した内容をまとめた書面です。相続登記や預貯金の解約などの手続きで提出を求められます。

Q.相続手続きには必ず遺産分割協議書が必要ですか? +

必要かどうかは、手続きをする機関によって変わります。不動産の相続登記や相続税の申告では求められることが多く、預貯金の解約は金融機関によって扱いが異なります。相続人が 1 人だけの場合や、遺言のとおりに分ける場合は原則として不要です。まず提出先にご確認ください。

Q.自分で作れますか? +

作成に資格は不要で、相続人自身で作ることもできます。ただし不動産の表示など記載に正確さが求められ、間違いがあると提出先から補正を求められることがあるため、専門家に依頼する方も多くいます。

Q.実印でないとダメですか? +

遺産分割協議書をつくるなら、相続人全員の実印と印鑑証明書が必要です。認印では手続きに使えません。用紙が複数枚になるときの契印にも実印を使います。

Q.相続人全員の署名・押印が必要ですか? +

はい。相続人全員が合意し、全員が署名して実印を押す必要があります。一人でも欠けると協議は成立せず、後から相続人が判明した場合はやり直しになることがあります。

Q.不動産はどう書きますか? +

登記事項証明書のとおり、所在・地番・家屋番号などで正確に記載します。ふだん使う住所 (住居表示) ではなく地番で書く点に注意が必要です。記載にミスがあると、提出先から補正を求められることがあります。

Q.後から財産が見つかったらどうなりますか? +

あらかじめ「この協議書に記載のない財産が判明した場合の取り扱い」を定めておくと、再協議の手間を減らせます。定めがない場合は、改めて協議が必要になることがあります。

Q.用紙が複数枚になるときはどうしますか? +

ページのつながりを示すために契印 (割印) が必要です。契印にも、署名押印に使ったのと同じ実印を使います。

Q.何通作ればいいですか? +

相続人の人数分を作って各自が原本を持つ方法のほか、原本を 1 通だけ作り、ほかの相続人はコピーを持つ形でも構いません。必ず全員が原本を持ち合う必要はありません。提出先ごとに必要な通数は確認しておくと安心です。

Q.相続税の申告にも使いますか? +

相続税の申告で提出を求められることがあります。ただし相続税の要否や税額の判断は司法書士の専門外のため、必ず税理士にご確認ください。

✨ 話し合いの前に、全員を見える化

誰が相続人かを、その場で図にしてみる

遺産分割協議は「全員そろっていること」が出発点です。まず誰が相続人かを整理すると、話し合いがスムーズです。「みんなの相関図」なら、名前 / 生年月日 / 続柄を入れていくだけで自動描画。
登録不要の体験デモで、まず試せます。

※ 登録時のカード入力なし。14 日経過後、何もしなければ 自動でサービス停止 (= 0 円のまま)
相続人の確定や遺産分割協議書の作成は法的な判断を伴うため、ツールはあくまで家族関係の図の作成にお使いいただけます。

この記事の監修者

柏原 昌之 (かしはら まさゆき)

司法書士。司法書士法人かしのき事務所 代表・花の丘相続遺言サポート 代表 (埼玉県さいたま市)。相続放棄・相続登記・遺言をはじめとする相続手続きを多数取り扱う。「専門家に頼む前に、自分でできるところまでやってみたい」という方を応援するため、「みんなの相関図」(運営: かしのき研究所) の監修を務める。

遺産分割協議書は、相続人が全員そろっているか財産の書き方が正確か でつまずきやすい書面です。実印と印鑑証明書が必要になる点も、あとから慌てやすいところです。判断に困るときは — 無料 Zoom 相続相談 (初回 90 分) で、早めにご相談ください。

免責事項

本記事は 2026 年 7 月時点の民法・制度に基づく一般的な情報提供であり、個別の事案に対する法的アドバイスではありません。遺産分割協議書の要否・記載内容・添付書類は、提出先の機関や個別の事情によって異なります。手数料は自治体・時期により異なるため、請求先の市区町村・法務局でご確認ください。相続税など税金の取扱いは司法書士の専門外のため、要否・税額は税理士にご確認ください。実際の手続きにあたっては、各窓口の案内をご確認のうえ、必要に応じて司法書士・税理士等の専門家にご相談ください。「みんなの相関図」は家族関係の図を作成するツールであり、相続人の確定や法的な判断、遺産分割協議書の作成を行うものではありません。